「冷え症ですか?」
と聞くと
「いいえ~むしろ私は暑がりなんですっ。汗もよくかくし」
という方がいます。
でも、足を触ると、ひんやり~。
顔や背中などの上半身は確かに汗をかいていて、頭の上にも湯気のような熱を感じます。
ところが、おなかやおへその下から足にかけては冷たいのです。
こういう方は「冷えのぼせ」です。
私も若いころは顔がすぐ赤くなり、汗もかくのに、足は冷え冷えでした。生理痛もひどかったです。
当時は「冷え症」という言葉も知らず、もちろん自覚は全くなかったのですが、今、思うと相当冷えていたと思います。
顔や頭がのぼせやすいのは、気は上にのぼりやすいからです。
気がのぼると、血ものぼります。
そうすると顔は赤いし、上半身に汗をよくかく。
また、頭痛や首こり、肩こりが起こり、肩甲骨まわりもガチガチにかたくなって、深い呼吸ができなくなります。
呼吸が浅いと体がリラックスできません。細胞に酸素が充分に行きわたらないと、疲れやすかったり、免疫力が落ちたりします。
上半身に気・血がいってしまうと、下半身は冷え冷えのスカスカの状態になっています。
胃腸は冷えてかたくなると働きがにぶくなり、栄養の消化吸収が悪くなります。さらに便秘になって、体内の不要な物質を排出できなくなり、毒素がたまりやすくなります。
下半身が冷えていると骨盤内の子宮や卵巣にも十分な血液がいかないので、働きも悪くなります。月経痛や不妊症などを引き起こします。
「頭寒足熱(ずかんそくねつ)」、または東洋医学でいう「下実上虚(かじつじょうきょ)」でいると、心は穏やかに、体は機敏に動くことができます。
そのために必要なことは、下半身を冷やさないことです。
暑がりの方は、上はタンクトップなどの薄着でもよいですが、
下半身は保温しましょう。重ね履きくつ下、レギンスやスパッツ、レッグウォーマー、腹巻などを身につけてください。
しばらく続けていると汗のかき方や赤い顔も変わってきます。
月経痛や月経不順がなくなったり、
胃腸の調子もよくなります。
夏こそ、冷房で冷えやすいので、「頭寒足熱」を
心がけて「冷えのぼせ」を改善してくださいね。
外気温にしても、
温かい空気は上にのぼり(冬の暖房は足元は寒いのに、上は暑かったりしますよね)、冷たい空気は下にたまるという性質があります。
クーラーの冷気は足元にたまり、
足首→膝→腰と
関節を冷やしていきます。
関節はなめらかに動くためのお水が入っているので、冷えやすいのが特徴です。
下半身に冷えが入ると、足がつる、膝が痛い、ぎっくり腰といった症状が出やすくなります。さらに、骨盤内の子宮や卵巣も冷えて、月経痛や月経不順を招きますし、胃腸の働きも悪くなって、便秘や胃の不調もあらわれます。
また、私たちはパソコンやスマホなどを使って目や頭にガンガン刺激を与える生活をしているので、上にばかり気や血が集まりやすいのです。
そうして悩んだり考えたりと頭ばかりを忙しく使っていると、頭が熱を持ちます。すると首こり、肩こりが起こり、肩甲骨まわりもかたくなり、深い呼吸がしにくくなるのです。
交感神経が刺激されるので、イライラして、眠りも浅くなりがちです。
なので、昔からいわれる「頭寒足熱(頭は涼しく、足元は温かく)」という状態を心がけることは、とても大切です。
夏でも、くつしたは、はいたほうがいいですよ。
暑いんだもん!という方は、
上半身の洋服を薄着にしてください。
上はタンクトップでもいいですが、下半身はしっかり保温しなくてはダメです。
東洋医学では「上実下虚(じょうじつかきょ)」はよくないのです。
気や熱は上にのぼりやすい性質がありますが、
頭は涼しいほうが、考えもクリアでよい決断ができます。
下半身が温かいと胃腸や生殖器の働きが充実し、
疲れを感じずに、どんどん動けます。
武道などでも、「丹田に気を集めて」といいますよね。
下腹部が充実していると、勉強もスポーツも仕事もはかどるのです。
心は穏やかに、体は機敏に動くためには「頭寒足熱」または「下実上虚」であることが大切です。
まずはくつ下をはき、下半身を冷やさない服装を心がけてください。